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ピープルドット(旧データミックス)の気象データアナリスト養成講座を受講しての感想

約1年前のことになりますが、気象データアナリスト養成講座を修了して以来、気象データアナリストとして活動しているきりたんです。

この記事では、気象データアナリスト養成講座の受講を検討されている方に向けて、私の体験談をお伝えしようと思います。

目次

受講したきっかけ

私が受講したきっかけは2つあります。 1つ目は気象データを活用してビジネス課題を解決したいという思いです。 当時勤めていた会社では気象予報業務に加えて、気象データを活用したビジネスも展開していました。 しかし、営業担当者は気象予報士の資格を持っておらず、気象を学んだ経験すらない人も多くいました。

気象データを扱う営業である以上、気象の知識は不可欠だという持論がある私は、ビジネスデータと気象データの分析ができるようになれば、営業チームのサポートができるのではないかと考え、受講を検討しました。

2つ目は、夜勤のある勤務体系が体力的に厳しくなってきたため、気象予報以外のスキルも身につけておきたいというやや現実的な理由です。 気象予報の仕事には夜勤がつきものです。 30代前半までは特に問題を感じませんでしたが、30代中盤に差しかかってから体調を崩すことが増えてきました。

将来的に、日勤のみの勤務体系の企業への転職も視野に入れておきたいと考えたことも、受講を決めた理由の一つです。

受講の流れ

以下の内容は2023年3月ごろの情報に基づいています。現在は当時と状況が変わっていますので、各自で最新の情報を収集していただけると幸いです。

受講を決意した当時、気象データアナリスト養成講座を提供していたのはピープルドット社とスキルアップNeXt社の2社のみでした。ピープルドットは対面授業形式、スキルアップNeXtは完全オンライン形式での開講でした。

以前にテックアカデミーのPythonコースをオンラインで受講した経験から、オンライン学習の課題点を理解していました。最も大きな問題は、疑問が生じた際にすぐに質問できないことです。

確かにChatGPTを活用すれば簡単な質問は解決できますが、より複雑な疑問に対応するには限界があります。また、同じ目標を持つ受講生との交流も望んでいました。

スキルアップNeXtの無料体験授業を受けてみましたが、気象の基礎知識に関する内容がやや冗長に感じられました。

高額な受講料を考慮し、より集中して学習できる対面形式のピープルドットの講座を選択することにしました。

受講中の感想

最新の情報はこちらからご確認ください。

ピープルドットの講義は4つのステージで構成されています。

  • ブートキャンプステップ
  • ベーシックステップ
  • アドバンスステップ
  • インテグレーションステップ

このうち、ブートキャンプステップからアドバンスステップまでは、データサイエンティスト養成講座の受講生と合同で講義を受けました。各ステップの最後には課題があり、他の受講生の前で発表する機会が設けられています。

ベーシックステップとアドバンスステップの課題は気象に関するもので、ベーシックステップでは秩父の雲海発生予測、アドバンスステップでは太陽光発電予測という、実務でも活用できる内容でした。

私が受講した当時は7ヶ月間のコースでしたが、現在は9ヶ月間に延長されています。調べたところ、ブートキャンプステップが前期と後期に分かれているようです(私の時には前期カリキュラムはありませんでした)。

ブートキャンプステップでは、統計の基礎とRを使ったデータ分析が中心で、Pythonは使用しません。これまで統計の知識が不足していた私にとっては、非常に有意義な内容でした。

ベーシックステップでは、Pythonを使って線形回帰、ロジスティック回帰、特徴量エンジニアリングなど、データ分析や機械学習の基礎を学びます。テックアカデミーで学んだ内容と重複する部分が多く、少し物足りなさを感じましたが、理解が不十分だった点を補強できました。

アドバンスステップでは、最新の生成AIで使用される自然言語処理や、Deep Learning、時系列モデルなどを学びます。このステップは初めて学ぶ分野だったため、かなり苦戦し、講義以外にも週10時間程度の自習時間を確保していました。

最後のインテグレーションステップは、気象データアナリスト養成講座の受講生だけの専用カリキュラムで、ようやく気象データを本格的に扱えるようになります。講義は全5回で、座学2回、講師のメンタリング(約30分)と個人ワーク2回、最後に発表会が1回という構成です。

つまり、7ヶ月という長期間の中で、気象データを学ぶ機会は実質2回だけということになります。統計やPython、Deep Learningの重要性は理解できますが、気象データの扱いがこれだけというのは、正直物足りなさを感じました。

インテグレーションステップではGPVデータを扱い、最終課題として某コインランドリーの実データを使ったピークシフト施策の立案に取り組みました。この課題は非常にチャレンジングで、毎週20時間ほどの分析作業に没頭しました。かなりハイレベルな内容でしたが、個人的には再解析データの取り扱いについても学びたかったと感じています。

ただし、全てのステップを通じて、単なる学習(インプット)だけでなく、実践的なアウトプットの機会が多く設けられていた点は、現在の業務にも活きていると実感しています。

プログラムの締めくくりとして卒業発表会があり、ポスター発表も経験できました。聴講者には気象の専門家ではない方も多かったため、専門用語を使わずに説明することに苦心しましたが、良い経験となりました。

全体を振り返ると、この講座を受講して良かったと感じています。

受講後、得た知識は活かせているのか

気象データアナリスト養成講座の修了後、私はある空港の霧発生予測モデルの開発に携わりました。

自社の既存モデルでは、HazeやSmokeによる視程予測の精度に課題があったため、この改善に取り組むことにしました。

その結果、低視程状態の予測精度が自社モデルと比べて約20%向上した新モデルを開発することができました。

さらに、ある航空会社から依頼を受け、ヨーロッパの特定空港における気象現象による一時閉鎖について分析を行いました。閉鎖の原因となる気象現象の種類やその季節性を詳しく調査し、レポートとして提供しました。

確かに現在では、ChatGPTなどの生成AIを使えばある程度のモデル作成やデータ分析は可能です。しかし、気象データアナリスト養成講座で学んだことで、モデルの精度向上手法や、相手に分かりやすいデータ分析、実践的な対策の提案ができるようになったと実感しています。

どの認定講座を受けるべき?

講座修了から1年が経過した今、どの講座を選ぶべきかと聞かれれば、岐阜大学の気象データアナリスト養成プログラムもお勧めしたいと思います。

募集要項から見える特徴として、以下のようなメリットがあります:

  • 受講生全員が気象データに強い関心を持っていること
  • カリキュラムが気象データの扱いに特化していること
  • 受講費用が35万円と比較的手頃な価格であること

が挙げられます。

一方で、以下のような制約もあります:

  • 専門実践教育訓練給付金の対象外(2024年度講座)
  • 入学試験による選考がある
  • Windows PCが必須

という点です。

目的に応じて、以下のような選択をお勧めします:

気象データのビジネス活用を学びたい方:ピープルドットの講座

気象データの専門的な分析を深く学びたい方:岐阜大学

自分のペースで学習したい方:スキルアップNeXt

がそれぞれ適していると考えます。

なお、ピープルドットの講座にご興味をお持ちの方は、紹介制度による特典がございますので、お問い合わせフォームまたはXの@kiritan_dataアカウントまでDMをいただければ幸いです。

気象データアナリストの展望

最後に、気象データアナリストの将来展望についてお話しします。

現状では、気象データアナリストの求人数は限られています。講座修了だけで転職できるかというと、正直なところ厳しい状況です。

ただし、現在お勤めの企業で気象データアナリストのニーズがある場合は、迷わず受講をおすすめします。

気象業界では気象データアナリストの資格に高い関心が寄せられていますが、一般的な認知度はまだ低く、「なにそれ美味しいの?」という反応がほとんどです。

私たち黎明期の気象データアナリストには、成功事例を積み重ね、企業に対してその価値を実証していく使命があります。

私自身も、気象データの活用事例を積極的に発信し続け、気象データアナリストの分野を盛り上げていきたいと考えています。

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