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2022年3月気象庁発表、3ヶ月予報をわかりやすく解説

2022年3月25日、気象庁から向こう3ヶ月(4〜6月)の天候の見通しが発表されました。

寒さもひと段落し、ようやく春らしい陽気も増えてきました。

この先3ヶ月はどのように天候は推移していくのか、みていきましょう。

目次

予想される海洋と大気の特徴

気象庁発表の資料は以下のとおりです。

気象庁HPより

・地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度は高いでしょう。

・春の間はラニーニャ現象の影響が続く可能性が高く、海面水温は太平洋赤道域の中部から東部では低い一方、太平洋熱帯域西部で高い見込みです。このため、積乱雲の発生は太平洋赤道域の日付変更線付近で少ない一方、東南アジア付近で多いでしょう。

・これらの影響により、上空の偏西風はユーラシア大陸南東部で北に、本州付近ではほぼ平年並みの位置となるでしょう。

・期間の前半は日本の北で上空の寒気が弱く、期間の後半は全国的に暖かい空気に覆われやすいでしょう。

・太平洋高気圧は、期間の後半は北への張り出しがやや強いでしょう。

気象庁HPより


では、ひとつずつ詳しくみていきたいと思います。

海面水温と雲の動きについて

まず、エルニーニョ監視海域についてみていきましょう。

気象庁の最新の予想は以下のようになっています。

Tokyo Climate Center HPより

2022年3月11日発表のエルニーニョ監視速報では、

・ラニーニャ現象が続いているとみられる。

・今後、春の間にラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性もある(40%)が、ラニーニャ現象が続く可能性の方がより高い。

・その後、夏は平常の状態になる可能性が高い(70%)。

エルニーニョ監視速報(No.354)について

と見通しを発表しています。

オーストラリア気象局では各国のモデルをまとめて評価しています。

おおむね各モデルとも6月に向けてラニーニャは終息していく傾向のようです。

NOAAだけは引き続きラニーニャの状態が続くと予想しています。

上図は向こう3ヶ月の降水量モデルです。

青色は降水量が多いエリア、赤色は降水量が少ないエリアを表します。

冒頭であったように、日付変更線付近では降水量は少なく、フィリピンなど東南アジア付近で降水量が多いことがわかります。

上図は200hPa面速度ポテンシャルです。

正の値は収束、負の値は発散を表します。

対応して、200hPaポテンシャルはインド洋西部や日付変更線付近では上層収束偏差、東南アジア付近では上層発散偏差が見られます。

流線関数について

上図は200hPa面、下図は850hPa面の流線関数です。

200hPa面を見ると、ユーラシア大陸南部は高気圧性循環場となっています。

一方で、日付変更線付近の上層収束偏差に対応して、太平洋熱帯域の中部から東部にかけては低気圧性循環偏差が、その北の千島付近からアラスカの南にかけては高気圧性循環偏差が予測されています。

これが負のPNAパターン形成に関連することになります。

これにより、上空の偏西風はユーラシア大陸南部で平年に比べ北寄りを流れるものの、本州付近ではほぼ平年の位置を流れることになりそうです。

下図の850hPa面流線関数を見てみましょう。

熱帯域ではインド洋赤道帯と東南アジア付近に低気圧性循環偏差をみることができます。

また、上層の高気圧性循環偏差と対応して、千島の東を中心に高気圧性循環偏差で、日本の東海上でも高気圧性循環偏差となっています。

これにより、沖縄・奄美付近は、期間のはじめは北東風偏差で、暖かく湿った気流が流れ込みにくい見込みです。

また、期間の後半は、太平洋高気圧の北への張り出しがやや強くなる見込みです。

高度場について

上図は500hPa面高度、下図は海面気圧を表します。

500hPa高度は、沿海州からアリューシャンの南にかけてを中心に、中緯度全般に高度が高い予測となっています。

一方、海面気圧は負のPNAパターンに対応してアリューシャンの南を中心に正偏差となっています。

このため、期間の前半は北日本を中心に高気圧に覆われやすく、北からの寒気が流れ込みにくいということが言えます。

気温について

上図は850hPaの気温分布です。

850hPa気温は、500hPa高度が高いことに対応して、沿海州からアリューシャンの南にかけてを中心に正偏差が広がり、北・東・西日本では暖かい空気に覆われやすいことがわかります。

成層圏の状況

上図は2022.3.29(火)現在の30hPa面の気温推移を表します。

黒い実線が実況、灰色の実線が過去30年平均になります。

Tokyo Climate CenterのWebサイトには、3/19から成層圏の突然昇温が始まったと記述があります。

考え方

以上をまとめると、次のとおりとなります。

・海面水温
 ラニーニャ現象は春の間に終息する可能性もあるが、ラニーニャ現象が続く可能性の方が依然として高い。
・対流活動
 東南アジアで活発、太平洋、特に日付変更線付近で不活発
・上層
 ユーラシア大陸南部で北偏、日本付近でほぼ平年の位置。太平洋から北米にかけては負のPNAパターンが引き続き明瞭。
・下層
 上層と対応して日本付近は暖かい空気に覆われやすい。

以上から気象庁は、

・平均気温は、北・東日本で高い、西日本で平年並みか高い、沖縄・奄美でほぼ平年並み
降水量は、全国的にほぼ平年並み

4月以降は北・東日本で季節の進行が早く進みそうですね。

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