MENU

2022年1月気象庁発表、3ヶ月予報をわかりやすく解説

2022年1月25日、気象庁から向こう3ヶ月(2〜4月)の天候の見通しが発表されました。

ラニーニャの影響もあり、今冬は厳しい寒さとなる日が多いですね。

この先3ヶ月はどのように天候は推移していくのか、みていきましょう。

目次

予想される海洋と大気の特徴

気象庁発表の資料は以下のとおりです。

気象庁HPより

・地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度は高いでしょう。

・ラニーニャ現象の影響が続く可能性が高く、海面水温は太平洋赤道域の中部から東部では低い一方、太平洋熱帯域西部で高い見込みです。このため、積乱雲の発生は太平洋赤道域の日付変更線付近で少ない一方、南シナ海からインドネシア付近で多いでしょう。

・これらの影響により、上空の偏西風はユーラシア大陸南東部で北に、日本付近で南に蛇行するでしょう。

・アリューシャン低気圧が平年より弱く、北日本への寒気の流れ込みが弱いでしょう。

・冬のシベリア高気圧の張り出しや、春の冷涼な移動性高気圧などにより、西日本以南に寒気が流れ込みやすく、西日本太平洋側や沖縄・奄美への暖湿気の流入が弱いでしょう。

気象庁HPより


では、ひとつずつ詳しくみていきたいと思います。

海面水温と雲の動きについて

まず、エルニーニョ監視海域についてみていきましょう。

気象庁の最新の予想は以下のようになっています。

Tokyo Climate Center HPより

2022年1月11日発表のエルニーニョ監視速報では、

・ラニーニャ現象が続いているとみられる。

・今後、冬の終わりまではラニーニャ現象が続く可能性が高い(80%)。

・春の間にラニーニャ現象が終息し平常の状態になる可能性が高い(80%)。

と見通しを発表しています。

オーストラリア気象局では各国のモデルをまとめて評価しています。

おおむね各モデルとも4月に向けてラニーニャは終息していく傾向のようです。

NOAAだけは4月以降もラニーニャの状態が続くと予想しています。

上図は向こう3ヶ月の降水量モデルです。

青色は降水量が多いエリア、赤色は降水量が少ないエリアを表します。

気象庁が現在使用している季節予報モデル(CPS2)は西にずれる系統誤差があるため、やや東にずらして考える必要があります。2022年2月以降運用が開始される新しいモデル(CPS3)はこの系統誤差がなくなるようです。

これを踏まえても、冒頭であったように、日付変更線付近では降水量は少なく、南シナ海からインドネシア付近で降水量が多いことがわかります。

上図は200hPa面速度ポテンシャルです。

正の値は収束、負の値は発散を表します。

発散域が日本を含む東アジアにかけて広がっていることがわかります。南シナ海付近では顕著な発散域を示しており、積乱雲が発生しやすい状態であることがわかります。

流線関数について

上図は200hPa面、下図は850hPa面の流線関数です。

200hPa面を見ると、ユーラシア大陸上は高気圧性循環場となっており、対流活発の影響がみられます。

一方で、下流側の日本付近では相対的に低気圧性循環偏差となるため、偏西風が南に蛇行する傾向があります。

また、太平洋中・東部の低気圧性循環偏差から北米に向けて連なる偏差パターン(PNAパターン)が明瞭になっているのがわかります。

下図をみると、アリューシャン付近では上下層とも高気圧性循環が明瞭で、平年に見られるアリューシャン低気圧の影響が弱い傾向にあります。

高度場について

上図は500hPa面高度、下図は海面気圧を表します。

太平洋では対流不活発に対応して高度がやや低い傾向です。

一方、海面気圧はインド洋で負偏差、太平洋で正偏差となっておりラニーニャ時の典型的なパターンとなっています。

また、華南周辺で正偏差となっており、大陸の高気圧は南東象限で強い傾向が見て取れます。

気温について

上図は地上の気温分布です。

インドシナ半島から日本の南海上にかけてやや寒気が入りやすいパターンになっています。

一方で北日本・東日本では正偏差となっています。

北半球を見てみる

上図は850hPa面の、下図は地上気圧面の北半球マップです。

これをみる限り、

極渦で気圧が低く中緯度でやや高い。

アリューシャン低気圧が浅く、この影響で北日本は冬型の気圧配置が弱いことがわかります。

成層圏の状況

上図は2022.1.26(水)現在の30hPa面の気温推移を表します。

黒い実線が実況、灰色の実線が過去30年平均になります。

これをみる限りは成層圏の突然昇温が発生していないようです。

突然昇温が発生した場合は極渦が崩壊し、中緯度に寒気が流れる傾向があるため、モニターする必要があります。

ただ、傾向としては成層圏準2年振動(QBO)が西風フェーズの時は突然昇温が起こりにくい傾向があるので、今冬に突然昇温が起きる可能性は低いでしょう。

CPC HPより

考え方

以上をまとめると、次のとおりとなります。

・海面水温
 ラニーニャ現象はピークを越えたと見られ、冬の終わりまで続く可能性が高い。ただし4月以降も弱まりながらラニーニャ的な特徴を維持
・対流活動
 インド洋東部から東南アジアで活発、太平洋で不活発
・成層圏・環状モード
 成層圏極渦が強い傾向で、ラニーニャ現象時の冬後半〜春の特徴に一致。また、対流圏では、期間を通して極域の海面気圧が低く、中・高緯度で高いパターンが持続。このため北日本への寒気流入が弱いことを示唆。
・上層
 ユーラシア大陸南部で北偏、日本付近で南に蛇行。太平洋から北米にかけては負のPNAパターンが明瞭で、アリューシャン低気圧は弱い。
・下層
 シベリア高気圧が南東に張り出す傾向で、西日本以南で寒気が流れ込みやすい。

以上から気象庁は、

・平均気温は、北日本で高い確率50%、沖縄・奄美で平年並または低い確率ともに40%
降水量は、西日本太平洋側と沖縄・奄美で平年並または少ない確率ともに40%

北日本では平年に比べて暖かく、西日本・南西諸島ではやや寒い傾向になりそうです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次